どーも!
民間の生命保険には加入できない貧困バーチャルブロガー、キサカ・ヒメノです。
今回は2019年6月7日にテレビ東京の午後のロードショーで放送された映画『ジョンQ -最後の決断-』のレビューでございます。
一言でいうと、心臓移植を受けなければ助からない息子のために病院を占拠した父親の戦いを描いた映画です。
見どころの詰まったドラマ性あふれる感動作でした。
アメリカの映画を通して、日本や世界が抱える医療福祉の問題点について深く考えることができる映画でもあります。
何度も泣けます。
映画『ジョンQ -最後の決断-』のあらすじ
少年野球の試合中、ジョンの息子マイクが突然倒れてしまいます。
病院での検査の結果、ジョン夫妻は息子マイクのために「高額な心臓移植を受けて命を助けるか」それとも「延命治療のみを施すか」という二択を迫られます。
当然、両親は息子の命を助けるため、心臓移植手術を選択します。
ジョンが会社で加入している保険で医療費の支払いは可能なはずでした。
しかし、病院の理事と医師から、ジョンの保険では高額な心臓移植は受けられないことを告げられます。
フルタイム社員からパートタイムに格下げされていたジョンは、加入していた保険までも格下げされてしまったのです。
ジョンは家財道具を売り、カンパを募り、息子の手術費用を捻出しようと奔走します。
が、病院からは「ジョンに支払い能力なし」と判断され、マイクを退院(というよりも強制退去)させると通達されてしまいます。
会社からは理不尽に給与を減らされ、自分の知らぬところで保険も格下げされ、そのうえ医療費を払えなければ治療もしないという病院…
ついにジョンの我慢は限界に達し、妻に「自分がなんとかする!」と告げ、病院で医師に拳銃を突きつけます。
映画『ジョンQ -最後の決断-』の主な登場人物
ジョン・クインシー・アーチボルド(ジョンQ)
職場ではフルタイムからパートタイムに格下げされて収入も減り、ローンも払えず、奥さんの車も差し押さえられてしまう。
経済的に困窮し、そのせいで奥さんともギクシャクしてしまう。
それでも息子の笑顔によって励まされ、より収入の良い仕事を得るための求職活動に励む。
しかし、そんな息子が心臓の病によって倒れ、しかも金銭的な理由から治療が受けられないと知り、人質をとって病院を占拠する。
演じているのはデンゼル・ワシントンです。
デニーズ・アーチボルド
ジョンの奥さん。
経済的に苦しい生活のせいで夫のジョンとギクシャクしてしまうが、何があっても最後はジョンの味方。
マイク・アーチボルド
ジョンとデニーズの息子で9歳。
マッチョなボディビルダーに憧れている。
しかし、心臓の病で倒れ、すぐにでも移植手術を受けなければ命が危うい。
レベッカ・ペイン院長
マイクが入院している病院の院長。
あくまで経営者的な視点の持ち主で、事務的かつ合理的な人物。
彼女自身は、医療と保険制度に対してどのような考えを持っているのか…という点にも注目すると、この映画のメッセージが深く見えてくると思います。
ずいぶん若くて美人(?)な院長ですな。
レイモンド・ターナー医師
心臓外科の権威。
ジョンQに拳銃を突きつけられて人質になってしまう。
病院の理事に従うばかりの雇われ医師だが、彼自身はどんな考えを持った医師なのか…という点が注目ポイントです。
「意見を言うことはできるが、決めるのは病院の理事会」という彼の言葉が印象的でした。
フランク・グライムズ警部補
ジョンQが起こした病院立て篭もり事件の指揮を執る。
ひとりの犠牲者も出さずに事件を解決するため、ジョンとの交渉役も担う。
老練の刑事って雰囲気を醸し出していてカッコイイです。
ガス・モンロー本部長
虚栄心の塊のような無能オヤジ。
グライムズ警部補から指揮権を横取りし、強引に事件を解決しようとする。
映画『ジョンQ -最後の決断-』の見どころと感想
ジョンを支援する仲間たちに感動
ジョンが立て篭もり事件を起こす前、ジョンは息子の治療費を集めるためにカンパを募ります。
おそらくジョンの仲間たちもジョンと同様にけっして裕福ではないと思われますが、それでもまだ幼い男の子を救うために協力を惜しみません。
金銭面だけでなく精神面でもジョンを支えようと励まします。
もし、私が同じような状況になったとき、

私はどれだけ協力できるだろう…?
とか、逆に

私を助けてくれる人はどれだけいるだろう…?
と、考えずにはいられませんでした。
やはり持つべきものは友達ですね。
普段から友達は大事にしなきゃいかんなと思いました。
と同時に、自分自身や家族や親戚のため、あるいは親友と呼べるような人が困ったときのためにガッツリお金を貯めておかなければ…という思いを強くした瞬間でもありました。
アメリカよりは皆保険の日本のほうが医療福祉は充実していると思いますが、それでも平民が受けられる医療には制限がありますからね。
そうはいっても簡単に大金を稼ぐことはできないのが悩ましいところです。
無料で治療してやれ!
ターナー医師のほか、警備員や偶然居合わせただけの数名の患者が人質となります。
また、ジョンが占拠した病院に一刻を争う状態の急患が運び込まれてきたりします。
当然ですが、患者たちはジョンを悪人扱いし、怯える人もいれば、反抗的な人もいます。
そんな人たちを見て、ジョンは病院のスタッフに「無料で治療してやれ!」と言い放ちます。
自身のリスクが増すことを理解しながら、ジョンは運ばれてきた急患も受け入れる決断をします。
ジョンは「自分の息子だけが助かればいい」とは思っていないのです。
そんなジョンを見て、人質とされた人たちはジョンに対する見方を少しずつ変えていき、ジョンに肩入れするようになっていきます。
DV男をボッコボコにしてスッキリ!
人質の中に彼女がケガをしているカップルがいます。
男は「事故でケガをしたんだ!」とジョンに怒りをぶつけますが、別の人質のひとりが「事故というのは嘘だ」と見抜きます。
事故ではなく、男の暴力によってケガをしたのです。
そんなカップルの彼氏は、隙をついてジョンに襲い掛かりますが、ジョンは男を返り討ちにします。
ジョンにボッコボコにされて崩れ落ちた男に対し、彼女のほうは思いっきりキックを炸裂させてDVの仕返しです。
彼女はもちろんのこと、ほかの人質たちも、このときにはもうすっかりジョンQの味方となっています。
元気な赤ちゃんが産まれるといいな
人質にされた中には妊婦さんとその夫もいます。
その妊婦さんは今にも産まれそうな状態です。
前述したとおり、ジョンは「自分の息子だけが助かればいい」というような身勝手な男ではありません。
妊婦さんを解放するのはもちろん、その夫も同時に解放する決断をします。
純粋に家族のことを大事に想っているジョンの人柄を際立たせたシーンのひとつですね。
解放された夫婦は、集まっていたマスコミと野次馬に対し「ジョンは決して悪い男ではない!」とジョンのことを擁護します。
大衆もジョンへの見方を変えて味方になっていく
集まっているマスコミや大衆に自身の活躍を見せたい警察のガス・モンロー本部長は、内部の様子をカメラで探り、ジョンを射殺する計画を立てます。
マスコミはその警察の電波をジャックし、内部の映像を映し出します。
そこに映し出されるのは、最愛の息子と電話で話すジョンの姿です。
このときの父子の会話は、涙腺崩壊という言葉が過言でもないほど感動的です。
立て篭もり事件の成り行きを見守っていた観衆も、ジョンに共感せずにはいられません。
拳銃を使って人質をとって立て篭もり事件を起こしているわけですから、ジョンはまぎれもなく犯罪者です。
どんな理由があったとしても犯罪を美談としていいものなのか…?そんな迷いを抱く人も少なくないと思います。
でも、映画のなかの大衆たちは、みなジョンを支持します。
その様子を見ると、建前や体裁ばかりの正義感を振りかざすような言動が、いかに稚拙で陳腐なものかということに気づかされます。
それくらい父から息子に伝えられるメッセージが感動的なんです。
いや…これ、メッセージの内容そのものは冷静に思い返せば、すべて当たり前のことだったりするんですが、そこに込められている父から子への想いが涙を誘うんですね。
印象的だったメッセージを3つだけ抜粋すると
- 女の子と交際するときは王女様のように扱え
- とにかく金を稼げ
- 悪いやつとは関わるな
このときにジョンの覚悟というか、「最後の決断」が何なのかということが少しずつ分かり始めてしまいます。
果たして、ジョンとマイクの父子にはどんな運命が待っているのか…?
映画『ジョンQ -最後の決断-』のレビューまとめ
医療保険制度の在り方や命の重さについて考えさせられる映画です。
お金さえあれば助かる幼い子供の命を大人たちが、あるいは社会が見捨てるようなことがあっていいのか…?
でも、それを言い出したらまともな医療を受けることができない人たちは世界中に大勢いるわけで…
また、その一方で運よく手に入れた大金を低次元な欲望を満たすために浪費しているゲスな人間も世の中にはいて…
じゃあ、自分はいったいどうなのか…と。
考え出したらキリがなくなりますが、アメリカの医療や保険制度を通して、世界の問題点が見えてくる映画でした。
映画の結末のネタバレは避けますが、↓のセリフを覚えておくとラストでより感動していただけるかと思います。

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