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『レインツリーの国』レビュー【読まないアナタは運命の出会いを逃すかも…】

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想像してください。

アナタは初対面の異性とデートをすることになりました。

初対面といっても事前にメールやLINEでのやりとりをしていて、すっかり意気投合しています。

ですが、実際に会ってみると、ルックスの素材は良いのに垢抜けなくて野暮ったい。

アナタの話を聞いているのかいないのか、会話もイマイチ嚙み合いません。

映画館では、吹き替え版の席しか空いていないのに「字幕じゃないとイヤだ。」とわがままを言われました。

エレベーターに乗ったら重量オーバーのブザーが鳴ってしまったのに、ほかの人が降りればいいと言わんばかりの態度で、その人は降りようとしません。

アナタはどう思いますか?

変なヤツだ…わがままなヤツだ…図々しいヤツだ…

もう、こんなヤツとはデートなんてしたくない!

そう思いましたか?

あ~あ、もったいない…

その人の言葉は、どこにでもいる軽薄な異性とは違って、アナタにとって価値のあるものかもしれないのに…

アナタだからこそ、その人の価値を見出せるかもしれないのに…

いや、そんな変なヤツとは付き合いたくないって?

では、もし、その人が補聴器を付けていることに気付いたら、アナタはどう思ったでしょうか?

あるいは事前に難聴であると聞かされていたら、どうだったでしょうか?

声を聞き取りづらいなら、食事は静かな店を選ぼう。

映画は字幕を選ぼう。

その人をサポートできる位置に寄り添い、必要ならば手を引いてあげよう。

きっと、そう思いますよね。

後出しで、その人が難聴者だなんて情報を出すのはズルかったですかね?

はじめから相手の事情がわかっていれば、相手に合わせた行動を取れるって思いますよね?

う~ん…

でも、そんな単純な考えだけでいいのでしょうか?

わたしだって、この小説を読むまでは、相手の立場に立って思いやりをもって接することのできる人間だと自分のことを思ってましたよ。

それくらいのことはできる人間だと自負していましたよ。

でも、違いました。

浅はかでした。

人って、たやすくできる想像だけでしか判断しないんですよ。

自分の常識の範囲内でしか、ものごとを考えられないんですよ。

だから、初対面の人が自分からアピールしない限りは、その人が難聴だなんて想像できません。

アナタもわたしも、自分の知らないところで誰かを傷つけてきたことでしょう。

相手の事情を知らないくせに無神経な言動をとって、恥をかいたり、後悔したり、自分を責めたり…なんて経験ありますよね?

あとになって自分の言動のほうが理不尽だと気づいたり…

それに気づけるならまだいいほうで、気づけないまま他人に冷ややかな目線で見られるような人間にはなりたくないですよね。

相手のことを想像する、自分の常識を拡げることって、他人とより良い関係を築くためには必要不可欠です。

男女関係だけでなく、家族、友人、職場、コンビニや飲食店の店員さん、街ですれ違うだけの人に対してだって、より良い人間関係を築けたほうがいいに決まってますよね。

それに気づかせてくれるのが、『レインツリーの国』という小説です。

森信三の著した『人生論としての読書論』という本には、”読書によって徳を積むことができる”なんてことが書かれていますが、まさにその言葉にピッタリの1冊でした。

なんだか偽善者のような感想文になってしまったので、最後にシンプルな感想も付け加えておきます。

ジレったくて、イライラして、でも最後にはそんな二人の恋のなりゆきが気になって仕方がない恋愛小説でした。

なお、タイトルの意味は、小説を読み終わったときのお楽しみです。

レインツリーの国

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