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朝井リョウ著作『武道館』【アイドルの真実と理想像とは?】

本のレビュー
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どーも!

アイドルになれる容姿もキャラも備えていないバーチャルブロガー、キサカ・ヒメノです。

さて今回は、朝井リョウの小説『武道館』のレビューでございます。

女性アイドルが好きな人なら、男女問わず、ぜひ読んでみることをオススメします。

きっとアイドルに対する想いがもっと強くなるでしょう。

ちなみに私は乃木坂46が好きです。

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朝井リョウの小説『武道館』のザックリした紹介

6人組としてデビューしたアイドルグループ(卒業とか脱退とか新加入とかあって人数は変動します)が武道館のステージに立つまでの軌跡を描いたフィクションです。

武道館という目標を達成するまでの舞台裏が書かれているといってもいいかと思います。

フィクションではありますが、実在のアイドルを連想させるような箇所も多く、なかなかのリアリティがあります。

登場人物に自分の好きな女性アイドルを当てはめながら読み進めると、よりリアリティが感じられると思います。

ちなみにJuice=Juiceの主演でドラマ化もされているみたいですね。

朝井リョウの小説『武道館』はこんな人にオススメの小説

  • 女性アイドルグループが好きな人
  • アイドルになりたい人
  • アイドルの実態を知りたい人
  • ネット情報に踊らされたくない人
  • 人生の選択を間違えたくない人

朝井リョウの小説『武道館』を読んだ感想

アイドルって何なの?

アイドル(idol)っていう英語のもともとの意味って、確か「偶像」とか「崇拝の対象」とか「虚像」みたいなニュアンスだったと思います。

そんなアイドルたちも実際には普通にひとりの人間であるってことをあらためて思い知らされる小説です。

「普通」とは言っても、それこそ「普通」に生活している同年代の子たちよりも努力しているだろうし、抱えている苦悩や葛藤も多いわけで――

持って生まれた才能や容姿だけでなく、人一倍の努力を重ね、苦悩や葛藤を乗り越えているからこそ輝いて見えるのでしょうね。

アイドルファンであれば、好きなアイドルをもっと応援したいという気持ちにならずにはいられなくなる小説です。

アイドル好きなら分かるネタだらけ

登場人物が実在のアイドルをモデルにしていたりします。

名前だったり、言動だったりで、誰がモデルになっているのかはアイドル好きの人ならピンとくるのではないでしょうか。(わたしは読み終わったあとで知ったことも多かったので、それなりのアイドル通じゃないと分からないところもあるかもしれません。)

また、小説の中に登場するアイドルの女の子が、ネット上で誹謗中傷や炎上の標的になったりします。

これもネット上でアイドルの情報に頻繁に触れている人にとってはあるあるネタだったりして思わず唸ってしまう要素だと思います。

それ以外にも実際にニュースで取り扱われて、アイドルファンならずとも知っているような事件のことが書かれていたりします。

インターネットの向こう側にいる人のことを想像してみよう

「ネットの向こう側にはリアルな人間が存在しているのだから相手を傷つけるような発言は控えましょう。」なんていう当たり前のことを今更あらためて言いたいわけではありません。

私が想像してほしいのは(おそらく作者が伝えたいメッセージも同じだと思いますが)、「ネット上に書き込みをしている人間がどんな人間なのか」ということです。

アナタは、名乗りもしない誰かの勝手な妄想による書き込みを見ただけで

「たしかにアイツはヒドイやつだ!」

と決め付けていませんか?

誰かの不幸が見たいのか、それとも誰かの幸せが見たいのか、アイドルファンならずとも自身はどちらのタイプの人間なのか自問自答しなければいけないのかもしれません。

もちろんアイドルのファンであるならば、自分自身がアイドルのファンとして矛盾した思考や言動をしていないか、もういちど自らを省みてみましょう。

作者がこの小説に込めたメッセージの内のひとつであると思います。

共通の隠し事がある人間同士は通じ合えるのかも…(少しネタバレ)

登場するアイドルグループのメンバーのうち、恋愛禁止ルールを破ってしまうメンバーが2人います。

もちろん2人ともそれぞれ秘密にしているのですが、物語が進むにつれて、この2人のあいだで会話が交わされる場面が多くなっていきます。

プライベートでも共に行動する機会が増えるこの2人は、本音を隠しつつも、互いが隠していることに薄々気づき始めていたのではないのかなと感じました。

この2人の秘めた想いがどう展開していくのか――とくにアイドルにガチ恋してしまうタイプの男性だったら気にならずにはいられないでしょうな。

アイドルは恋愛すべきじゃない?

基本的には、定められたルールは守るべきだと私は思っています。

ルールを破ることはファンに対する裏切り行為でもありますが、なによりも、ルールを守っている他のメンバーに対する裏切り行為であるからです。

「年頃の女の子から恋愛機会を取り上げてしまうなんて可哀想だ」

という意見もあるでしょう。

しかし、世の中の女子がみんな思い通りに恋愛できているわけではないし、アイドルになりたくても誰もがなれるわけではないのです。

どっちも望みどおりにならない女子だって世の中にはたくさんいます。

それを思えばアイドルが恋愛を我慢することって、そんなに厳しいルールだとは思えません。

この考えはこの小説を読んだあとでも変わらないです。

ですが、恋愛禁止ルールがないのであればアイドルが恋愛してもいいんじゃないかとも思っています。

これは同姓のアイドルファンなのか、異性のアイドルファンなのか、男女で考え方は違ってしまうかもしれませんね。

そこで私が提案したいのは、アイドルをやりつつも恋愛するのか、それともアイドル一筋でいくのか、事務所ではなくアイドル個人の意思で宣言してしまえばいいのではないか、ということです。

異性(特にガチ恋勢)にとっては恋愛禁止宣言をしているアイドルのほうが応援したくなるのは必然かと思います。

同姓だとしても、恋愛を封印して一途にアイドルとして頑張っているアイドルを応援したくなるでしょう。

でも、そんなアイドルが自分に課したルールを破れば、批判を受けるのは必至です。

だったら、はじめから「アイドルだけど恋愛もします。」と宣言してしまうアイドルがいてもいいと思うのです。

それを逆に「潔し!」と後押ししてくれる人だっているはずです。

アイドルとしてどういう戦略を取っていくのか、アイドル自身に選択する自由があってもいいと思うのです。

ちなみに作者は、また違った未来のアイドル像をこの小説の中で描いています。

この小説の中で登場するアイドル達の12年後――小説の発行が2015年なので、つまりは2027年ということになるかと思いますが、果たして作者が描いているようなアイドル像が現実のものとなるのか興味深いですね。

アイドルの引退後の生活って気になりません?

アイドルを卒業したあとって芸能界に残って新しい活動を始める人もいれば、芸能界そのものを引退してしまう人もいるじゃないですか。

小説『武道館』に登場するアイドルの中にもグループを脱退して、そのまま芸能界も辞めてしまう女の子がいます。

で、その元アイドルが12年後に再び登場するのですが、空白の12年間のなかでどんなことがあったのかは簡潔にしか描かれていません。

小説の世界でも引退後の12年間はどんなふうに過ごしていたんだろう…?ってやはり気になっちゃいました。

芸能界を引退したあとのことまで詮索するのはご本人にとっては迷惑でしょうし、モラルとしてやってはいけないとは思いますが、やっぱり気になりますよね。

「選択する」ということ

「選択」という言葉がこの小説のキーワードのひとつになっています。

アイドルに限らずとも人生というヤツは選択の連続です。

そこで「正しい選択」をしようとする人もいれば、世間一般からは間違った選択だと評価されたとしても自分の意思で「後悔しない選択」をしようとする人もいるわけです。

  • いま現在、重要な選択を迫られている人
  • 過去の選択が間違っていたのではないかと思い返すことがある人

そんな人には、ぜひこの小説を読んでほしいと思います。

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