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星野夏の『あおぞら』のレビュー【ムカついたけど泣けた】

本のレビュー
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わたしは「性犯罪に遭う被害者にも落ち度があるんじゃないか?」という考え方が大嫌いです。(まあ、大抵の人はそう考えていると思いますけど。)

でも、この本を読んで、「たしかにそういうケースもあるのかもしれない…」と思わざるを得ませんでした。

もちろん、被害者に落ち度があるからといって性犯罪を正当化する気なんて全くありません。

絶対的に悪いのは加害者であって、たとえ被害者に落ち度があったとしても女性がレイプされていい理由には絶対になりません。

この本の作者で主人公でもある「なつ」を強姦した男たちが、その後、法的あるいは社会的に罰を受けたのかは書かれていないし、「なつ」がそれを望んでいたのかも分かりませんが、わたしは厳しい罰が下っていてほしいと思います。

かと言って、被害者である「なつ」のことを心から不憫に思えたり、同情できたりするかといえば、私の場合はノーです。

こんな感想を書く私を「ひどいやつだ!」「被害者の気持ちを考えろ!」と批判的に思う人もいるでしょう。

私自身も、こんな感想を抱いた自分のことを「冷酷な人間だ」と思いました。

もちろん、乱暴されている最中やその後の生活の中で感じた恐怖や不安や絶望は、底知れないものであったでしょう。

しかし、それでも、キレイゴトだけを並べた感想を書く気にはなりません。

冒頭で作者は『原稿を書くにあたって、嘘をついたり、内容を美化してしまうことが怖い』と語っています。

なので、わたしも本当に思ったことを書かなければ意味がないし、作者にも失礼だと思いました。

そう思ったからこそ、わたしも自分を美化せずに本音を書かせていただきます。

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星野夏 著作『あおぞら』のあらすじ

女子中学生「なつ」は、ある日、ふたりの先輩に騙されてレイプ・輪姦されます。

後日、また別の男に騙され、5人の(そのうち少なくても1人、おそらくは全員18歳以上の)男たちにも輪姦されてしまいます。

学校を休み、髪を茶髪に染め、万引きをし、人をリンチし、リストカット―

そんな荒んだ生活をしながら、テレクラで知り合った男を相手に援助交際にまで及んでしまった「なつ」は、マサトという男に行為の最中を撮影されてしまいます。

高校に進学すると、新しい友達と知り合い、ひとつ年上の彼氏「こぅちゃん」とも付き合い始め、幸せな日々を送り始める「なつ」。

しかし、そんな生活も援交男のマサトによって壊されてしまいます。

「こぅちゃん」に自ら別れを切り出し、体調も崩し、ふたたび荒んだ生活を繰りかえす「なつ」。

さらには、病院の屋上で男友達によって四度目のレイプ―

「なつ」は学校にも行かなくなり、夜の店でバイトをはじめたり、出会い系サイトで知り合った男に下着を売ったりして、大金を得ていきます。

が、財布の中だけが満たされていくだけの虚しさを感じた「なつ」は、下着売りをやめ、マサトからの脅迫にも吹っ切れて無視します。

そんなとき、「なつ」は「こぅちゃん」と再会し、ヨリを戻します。

意を決して、過去を告白する「なつ」に対し、過去を含めて受け止める「こぅちゃん」。

「なつ」にふたたび幸せな日々が訪れます。

が、そんな日々も長くは続かず…

「こぅちゃん」はバイク事故をきっかけに脳梗塞を発症し、意識が戻らないまま、亡くなってしまいます。

星野夏 著作『あおぞら』を読んだ感想

平易な文章でサラッと読める本

作者でもある「なつ」の中学~高校時代の出来事が書かれていて、若い女の子が書いたような等身大の文章です。

難しい言葉や言い回しもないので、中学生でもスラスラと読めるような本だと思います。

ひと昔前に流行ったケータイ小説のような雰囲気です。

内容は重く、サラッと読めない本

すらすら読める文章のスタイルとは対照的にレイプや恋人の死という重い経験が書かれています。

若い女の子の等身大な文体なだけに、その壮絶な体験で受けた傷の大きさがどれほどのものであったかということも伝わってくる本でした。

拙い文体の本ですが、だからこそ、特に「なつ」と同じ10代の子たちには、本に込められているメッセージも伝わりやすいのではないかと思います。

腹が立つような人物ばかり登場

はっきり言って、この本の主人公である「なつ」が好きになれませんでした。

中学生時代にクラスメイトだったとしたら、必要以上には関わり合いたくないタイプです。

自分勝手だし、家族に迷惑かけまくるし、無鉄砲だし、浅はかだし、すぐ泣くし…

ひとことで言ってしまえば不良です。

冒頭でも書きましたが、普通の生活をしていればレイプされるようなことにもならなかったかもしれないと思います。

どうしても自業自得と思わざるを得ないような、自ら不幸な道に足を踏み入れているように思えてなりません。

冒頭で、『原稿を書くにあたって、嘘をついたり、内容を美化してしまうことが怖い』とありましたが、もっと書くべきこともあったのではないかとも思えます。

つらい体験ばかりを強調していて、自分が犯した過ちを顧みていないように思えるし、美化させている部分もある気がしてなりません。

ロクな男友達と付き合ってなかったんだろうなということも容易に想像できます。

こんなことになるまで気付けなかったのか…

マジでロクな男が出てきません。

「なつ」にヒドいことをした男たちには厳しい罰が下っていてほしいと願うばかりです。

人の優しさに救われる

腹が立つような人物ばかり登場すると書きましたが、そうではない人もいるのが救いでした。

好きにはなれないとは言っても「なつ」のつらい体験には涙を流さずにはいられませんし、そんな「なつ」を支える友人や大人たちの優しさにも涙が溢れました。

そして、その優しさに気付き、生きる力を失わずにいられた「なつ」でいてくれてよかったです。

辛辣なことも書きましたが、作者である星野夏さんとそのご家族、ご友人のみなさんの現在が幸せであることを願わずにはいられません。

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