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【アナタはアナタのままでいい】小説『コンビニ人間』を読んだ感想

本のレビュー
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どーも!

コンビニバイトをたったの2ヶ月で辞めた経験を持つダメダメ人間、キサカ・ヒメノです。

さて今回は、そんなダメダメ人間の私が読んだ小説『コンビニ人間』(村田沙耶香 著)のレビューでございます。

ダメダメ人間の私にとっては、

今のままでいいんだ!

と思わせてくれるような救いの小説にも感じられたし、

やっぱり今のままではダメだ…

と感じられるような小説にも思えました。

  • 他人と自分はどこか違う。
  • 自分を押し殺してでも他人に合わせなくてはいけないのだろうか…?
  • この世の中は、なんでこんなに生きづらいんだ!

と憂いている人の心が、少しだけ軽くなる小説ではないかなと思います。

「ウチの子、少し様子が他の子と違っていて将来が心配…」なんて不安を抱えている親御さんも読んでみるといいかもしれません。

あと、単純に「近い将来、コンビニでバイトしてみたいな。」なんて思っている中高生が読んでみてもタメになる部分がありますよ。

ちなみにブログ記事タイトルには【アナタはアナタのままでいい】と付けましたが、ほかに

  • 【ASD(自閉症スペクトラム)の教科書】
  • 【アナタの幸せはアタナが決めればいい】
  • 【いつの時代も男はつらいよ】

といったタイトル候補もありました。

何故、このようなタイトル候補が思い浮かんだのか気になる方は、ぜひ最後までお読みくださいませ。

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小説『コンビニ人間』は2~3時間でサクッと気軽に読めます

特に難しい言葉や言い回しもなく、登場人物も限られていますので、読書習慣のない人でもスラスラ読める小説です。

私は本を読むスピードが遅いほうですが、それでも3時間くらいで読み終わりました。

しかも途中で、紅茶を飲んだり、お菓子を食べたり、ダラダラしながら読みました。

本を読むのが速い人が集中して読めば、2時間くらいで読み終わるかなと思います。



私が小説『コンビニ人間』から学んだこと

主人公の古倉恵子はASD(自閉症スペクトラム)?

物語の中では、「ASD」や「自閉症スペクトラム」といった言葉は一切出てきません。

また、私はそういった分野の専門家でもありません。(身近に典型的なASD特性を持った人はいるので、素人ではありますが少しだけ詳しいです。)

ですので、主人公の古倉さんがASDや自閉症スペクトラムと呼ばれるタイプの人間なのかどうか、断定はできませんが、おそらくASDなのだろうなと想像できます。

さて、突然ですが、質問です。

ご自身の子供時代を思い出しながら考えてみてください。

  1. 友人たちと公園で遊んでいるときに死んでいる小鳥を見つけたら、アナタはどうしますか?
  2. クラスの男の子同士の取っ組み合いのケンカを止めようとした場合、アナタはどうしますか?

「普通」と言われる子供だったら、死んでいる小鳥を見て「可哀想」だと思ったり、お墓を作ってあげたりしますよね。

男の子同士のケンカを止めるためには、「ケンカはやめて!」と叫んだり、先生を呼んだりしますよね。

こんなとき、「普通」ではなかった恵子は、「えっ!?」っと仰天してしまうヤバい言動を取ります。

恵子の両親や大人になってからの妹は、こんな恵子を「どうすれば治るのか?」と思い悩んでいるようです。

でも、恵子には「治る」ということがどういうことなのか、自分では分かりません。

そもそも、恵子は「治る」必要があるのでしょうか?

私は、『コンビニ人間』という小説が、そんな疑問を社会に問いかけているように感じました。

発達障害の人がもっと輝ける社会になるといいですね。

ちなみに私個人は、少女時代の恵子が取ったヤバい言動に関してだけは、さすがに治すべきだとは思いました。(大人になってから犯罪者にならないためにも。)

そして、36歳になった古倉恵子は、他人とは少し違っていたとしても、誰にも迷惑を掛けることもなく生きている立派な大人のように思えました。

なにせ、私が2ヶ月で辞めたコンビニバイトを古倉さんは18年間、しかも一流の店員として続けることができているのですから。

私のプライドを保つためにチョットだけ言い訳させていただきますね。
私がコンビニを2ヶ月で辞めた主たる理由はセクハラとパワハラを受けたからです。
コンビニを辞めたあとに始めた物流会社でのアルバイトは約2年間、基本的には楽しく働くことができました。

人には、それぞれ適した居場所と役割があるわけですな。

私の場合は、コンビニバイトをさっさと辞めてしまって正解でした。

セクハラやパワハラが野放しになっているような職場なんてバッサリ切り捨てて、新しい居場所を探したほうがいいですな。マジで!

面倒くさい質問への対処法も書かれてるぞ

「恋愛したことある?」

なんて、野暮なことを聞いてくる人物が、この小説には登場します。

「なんでバイトなの?」とか「結婚したほうがいい。」とか「婚活サイトに登録すればいい」など、他人の人生に口出しするお節介ヤローもいます。

実際、小説の中だけじゃなくて現実でも多いでしょうね。

うるせー!そんなこと話す必要ねーだろ!?

って、感じですよね。

そんなとき、どう切り返せばいいのか、主人公の妹さんが教えてくれてますので参考にしましょう。(言い訳レベルではあるのですが、実用的な言い訳です。)

ほかにも、他人の事情に土足で踏み込んでくる面倒くさいヤツらは登場してきます。

もっとも、古倉さんは本当に「面倒くさい」と感じている程度で、何を言われてもあまり気にしていないのがすごいです。

周囲の人から見れば古倉さんは「変な人」。

ですが、それと同時に古倉さんからすれば、いちいち他人の事情に土足で踏み込んでくる人こそ「変な人」と映っているみたいです。

他人の目ばかりを気にして生きている私のような人間には、こういう生き方ができる古倉さんのことが少し羨ましいですな。

実際、古倉さんのようになりたいかどうかは別として…(10数年後の自分が古倉さんみたいに生活をしている可能性は否定しない。)

自分はぜんぜんマシな人間だった!

ここまで読んでくださった方は、小説の主人公である古倉さんが変な人だとお分かりいただけていると思います。

でも、決して悪い人ではないんですよね。

同じ職場の人とか、月に数回会う程度の友達とか、一定の距離を保っている分には、すごく付き合いやすい人だと思います。(家族とか恋人みたいに超至近距離で接するのは大変そう…)

実は、この小説には、もっとヤバい人が登場します。

その名も白羽(35)♂。

古倉さんが働くコンビニに新人バイトとしてやってきます。

「なんでコンビニでバイトを始めたんですか?」という質問に対して、「婚活のため」なんて言っちゃうような人です。

しかも、自分に男としての魅力がないことを棚にあげて、同僚のコンビニ店員の女性に対しては「若いヤツは遊んでそうでダメ」とか「あとは年増女しかいない」などと文句ばっかり。

古倉さんに対しては「中古の処女」なんて暴言を吐きます。(そんなことを言われても怒らない古倉さんもすごい!)

女性に対する思い込みや偏見がすごい男です。

でも、そんな白羽さんも、やはり今の世の中に対して相当な生き辛さを感じているようです。

昨今、「男性が抱える生き辛さ」というテーマもチラホラ耳にするようになりましたね。

社会から「男らしさ」を求められることに嫌気が差している男性は、白羽さんの言動に共感できるところがあるかもしれません。

そんな男性はぜひ、この小説を読んでください。

そして、「白羽と違って、女性を尊重できるし、一生懸命生きてる俺ってカッコイイじゃん!」と自分を褒めてあげてください。

小説『コンビニ人間』の感想まとめ

周囲の人間から「普通になること」を望まれ、「普通になろう」と考えながらも、「普通」が何なのか分からず、自分が自分であるための生き方を見つける古倉さん。

社会から「男らしく生きること」を強要され、「男らしく生きること」から逃げ続ける白羽さん。

「多様な価値観を認めよう。」という声が各所で上がりつつも、いまだその理想と現実のあいだにギャップのある現代社会に立ち向かう勇気をくれる一冊です。

10年後の社会と、私自身の生活はどうなっているか分かりません。

ですが、「社会の底辺」と蔑まれるような生活を送っていたとしても、逆に他人から羨ましがられるような生活を送っていたとしても(この可能性は低そうですが)、自分の人生に違和感を覚えたとき、もう一度読み返してみようと思える小説でした。

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